「日本人の主食なんだから米離れなんて起きるわけがない」と高を括っていたコメ業界であったが、実際は米の消費は見事に減少し、パンや麺類などの小麦製品の消費が増え続けている。
なぜ本当に米離れが起こってしまったのか。
「それは米が高すぎるから」という原因で説明するよりも、「小麦製品の価格が割安で安定しているから」という要因で説明したほうがより具体的だと思う。
そもそも、人は価格が安くて安定した主食のほうが食べていて安心できるのだ。
高い米は家計を圧迫するストレス要因にしかならない。高い米はもはや人々の家計不安、もといそれによる将来的な飢餓への恐怖心を刺激する存在でしかないのだ。
国産の高級な米を食べることによる一時の贅沢な幸せよりも、安定的な安い小麦を食べることの長期的な幸福の方が遥かに価値があると人々は気づいてしまったのだ。
この幸福感の違いをありありと実感できるようになったことが米離れを加速させた大きな要因となっていると考えられる。
仕方なく小麦を食べているというわけではなく、むしろ好んで食べる動機が生まれてしまったのである。
また炊飯の時間的・金銭的コストの高さも浮き彫りになった。糖質やタンパク質など、健康面での不利さも比較されるようになった。そもそも国産米は現時点での価値観では高級品というよりは、ただただ割高なものでしかないのだから、それに価値を見出す事自体が困難な状況だ。価格の安定しない米にはもはや主食としての信頼も無い。米は完全に主食競争の敗者となってしまったのだ。
米を贅沢品にしてしまったコメ業界の罪は極めて重い。
コメ業界は目先の利益のために米の多大な信頼と文化を破壊したのである。
その罪は米卸価格の大暴落を以て償わなければならない。
米食文化に甘んじ惰性で食べられていたコメであるが、
しかし米食文化はいま急激な衰退の真っ只中にある。