近年インターネット上では、文章のコピーができないサイトや、テキストの範囲選択が出来ないページ、右クリック禁止のウェブサイトが増えている。
コピー範囲の指定や選択ができないサイトに遭遇する機会が多くなった。
「テキストのコピーができない」「テキストが選択できない」「コピペができない」「ドラッグできない」といった不満の声も多く聞く。
なぜこのような現象が起こっているのか。
どう対処すればいいのか。
本記事ではウェブページ上の文章がコピーできない原因と対処方法について解説する。
またこのような問題が起こっている理由やコピー禁止の意図についても解説していきたい。
目次
- ページの複製や盗用を防止することが目的(パクリコンテンツ対策)
- 文章をコピーできない場合の対処方法(ソースの表示)
- 文章をコピーできない場合の対処方法(プレビューの表示)
- 文章をコピーできない場合の対処方法(スマートフォンの場合)
- 文章の選択・文章コピー・右クリック禁止の意図
- コピー禁止が行われる理由と意図(この業界の闇について)
- コピー禁止に対する意見
- 「いかがでしたかブログ」を生み出したGoogle検索の責任
ページの複製や盗用を防止することが目的
なぜウェブページ上の文章を選択・コピーできない場合があるのか。
これは、ページ内の文章や画像の複製と悪用を防止するために、サイト運営者によって意図的に制限されているためである。
要するに「パクリコンテンツ」が作られないようにするための対策なのである。
彼らサイト運営者は自分たちの書いた記事が他人に盗用され、同じようなページが作成されることを恐れている。文章の一部が他のブロガーによってコピーされパクられることを嫌っている。自身のページのアクセス数が他者のコピーコンテンツによって奪われてしまうことを危惧しているのだ。
だからそれらの行為を防止あるいは抑止するために、コピペを制限しようとしているのである。
つまり、テキストの範囲選択や右クリックができないのは、そのようなコピー行為を防止するための対策が講じられているためである。
これらの対策は「コピー禁止」や「コピーガード」「コピープロテクト」または「コピー防止」や「コピペ禁止」と呼ばれることがある。
文章をコピーできない場合の対処方法(ソースの表示)
ウェブブラウザ上の文章をコピーできない場合は、ソースコードの表示を行う必要がある。
ソースコードというのはHTML文書のそれであり、要するにウェブページを表現するための元データのようなものだ。そのHTML上の文章であれば制限なくコピーができるようになる。
OSがWindows(ウィンドウズ)の場合はショートカットキーCtrl + U
(Control
キーとu
キーを同時に押す)でソースコードを表示することができる。
Mac(マック)の場合は⌘ + ⌥ + U
(command
キーとoption
キーとu
キーを同時に押す)でソースコードを表示することができる。
ショートカットキーが動作しない場合は、メニューバーの「表示
」メニュー内にある「ソースコードを表示
」や「ソースを表示
」といったメニュー項目を選択するとよい。見つからない場合は「開発
」メニューの中を探してみるとよい。
ソースコードが表示された後は、その中から目的の文章を見つけ出し、通常の手段で文章の選択とコピーを行う。
目的の文章を探す際には検索機能(Windows:Ctrl + F
、Mac:⌘ + F
)を用いて文章検索を行うのが便利だ。
文章をコピーできない場合の対処方法(プレビューの表示)
「Chrome」というブラウザを利用している場合は、ソースコードを表示する代わりに印刷画面のプレビュー表示機能を利用することもできる。
ショートカットキー(Windows:Ctrl + P
、Mac:⌘ + P
)または、メニューバーの「ファイル
」メニュー内にある「印刷
」メニュー項目を選択すると、プレビューが表示される。
プレビュー画面内文章は通常のウェブ画面と同じように文章の選択とコピーができるようになっている。
文章をコピーできない場合の対処方法(スマートフォンの場合)
画面内のテキストを長押ししても、範囲選択機能やコピーメニューが表示されないためにコピー作業自体が行えないような場合は、サイト運営者によって意図的にコピペが制限されている可能性がある。
アプリ内のメニューに「ソースコードを表示」といったメニュー項目があれば、その先のソースコード内で目的の文章をコピーできるようになる。ただし、多くのアプリではそのような機能が備わっていないことが多い。
Android版Chromeの場合はアドレスバー内に記載されたURL(http
で始まるテキスト)の先頭に「view-source:
」を追加して再検索・再表示すると、ソースコードが表示されるため、そこでソースコード内の文章の選択とコピーが行えるようになる。
iPhone/iOSを利用している場合は「View Source」というソース表示専用のアプリをインストールすることで、コピーが行えるようになる。
「View Source」を App Store で取得
文章の選択・文章コピー・右クリック禁止の意図
文章の範囲選択や文章コピーが出来なかったり、右クリックが行えない原因はサイト運営者によるコピー防止処置の影響によるものである。
文章の範囲選択ができない理由は、範囲選択後のコピー作業を回避するためである。文章の選択ができなくなれば、右クリックによるコピー機能の呼び出しや、ドラッグ・アンド・ドロップによる文章移動、ショートカットキーによるコピーすらできなくなる。そのようにコピー自体を事前に回避するために文章の範囲選択そのものを制限しているのである。
右クリック禁止の処置には、コピーを防止する他に、ソースの表示や画像の保存・転記を防止する意図がある。もっとも、ソースの表示はショートカットキーやメニューバーからでも行えるため完全な対策にはなっていない。
近年ではショートカットキーによるソース表示を回避するためなのか、ショートカットキーの利用自体を制限するサイトも存在する。その弊害として、検索機能や印刷機能のショートカットキーまでもが制限されてしまうケースが見受けられる。
コピー禁止が行われる理由と意図
近年では広告収入やアフィリエイト収入を目当てに、ネット上へ記事を公開する人たちが増えているが、彼らの多くは他人が書いた既存の記事を複製し改変することでコンテンツ制作の手間を省いている。場合によっては、改変と最適化が施されたコピーコンテンツのほうが検索結果の上位に表示されてしまうケースもある。
俗に言う「いかがでしたかブログ」や「トレンドブログ」「アフィリエイトブログ」の多くがそのような手段を用いて記事を書いている。
ブロガー界隈、とりわけクラウドソーシング上のライター界隈では、そのような不逞な行為が常習化しているため、多くの運営者は自分たちの書いた記事を守るべく、意図的に文章のコピーができないよう対策しているのである。
また自分の書いた記事や文章がコピーされ、それがありふれたものになってしまうと、検索エンジン上におけるオリジナルコンテンツとしての価値が相対的に下がってしまう可能性があり、それを回避し差別化を実現する意図として、このようなコピー禁止処置が講じられているケースも考えられる。
また、ネット上に同じようなコンテンツが複数あった場合、Googleは投稿日時の新しい方の記事を優遇する傾向にあり、その事実がコピーコンテンツの制作を助長している可能性も考えられる。
要するに、Googleがパクリコンテンツを正確に判定できていないために、ブロガーが自主的に対策を講じているというのが実情なのである。
コピー禁止に対する意見
コピー防止のために行われている右クリック禁止処置や文章コピー拒否・範囲選択拒否の措置は、悪意のない利用者にとっては不便極まりないものである。
もっとも、自分たちが必死になって書いた記事を守りたいという運営者側の気持ちも理解できないわけではない。また、情報の複製と改変が繰り返されることによる情報劣化と誤った情報の蔓延は、利用者に多くの混乱と損失をもたらす。それを未然に防ごうとする姿勢にはそれなりの意義があるようにも思える。あるいはそれらは推察に過ぎず、彼らに責任意識や誠実さというものはないのかもしれない。彼ら自身もまたコピーコンテンツを作成する立場にあり、だからこそ不正に敏感であり、業界の闇を知っているからこそ、コピー防止措置を講じようとしてしまうのかもしれない。
なお、私はコピー防止措置に対しては否定的だ。利用者の利便性がなによりも重要だと思う。あのような利便性の低いサイトは検索結果から除外されるべきだとすら思う。仮に多くの人々がこのような反感を抱いているのであれば、もはやコピープロテクトは悪手であり、サイトの価値を下げる行為でしかないのではないか。
「いかがでしたかブログ」を生み出したGoogle検索の責任
そもそも問題は、このような無秩序な世界を放置し続けている「Google検索」にあるのではないか。
コピーコンテンツを検索から除外したり、重複コンテンツに対する厳格なペナルティーを設けることで、それらを抑止することだってできたはずだろう。
しかし今のGoogleはそれすらまともにできていない。オリジナルコンテンツよりもコピーコンテンツのほうが検索の上位に上がってしまうのが今のGoogle検索の現状だ。Googleは簡単にアレンジされた事実上のコピーコンテンツを判定できていないのだ。
悪貨が良貨を駆逐し、二次情報が三次情報を生み出し、三次情報が更なる派生と劣化を繰り返しながら人々の認知を歪め続けている。
Googleは検索プラットフォームを統べるものとしての責務を果たすべきだと思う。
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