プログラミング教育ビジネスの闇|胡散臭いプログラミングスクール

煽るプログラミングスクール

現状の働き方に不満を持ち、わらにもすがる思いでエンジニアやフリーランスを目指し、高いお金を払ってプログラミングスクールに通い、途中で挫折し、IT業界の悲惨さを知り、再びドロップアウトする。

そんな人たちを見ているといたたまれなくなる。

最近のプログラミングスクールは、「3ヶ月でフリーランスになれる」だとか「時給4000円」「誰でもできる」「転職成功率98%」「未経験でも月40万円以上」「自宅で仕事ができる」などと誇大で美味い話を言って、未経験者に甘い夢や希望を抱かせて入会や受講を煽ったり、IT業界への転職を扇動したりしているが、果たしてそれが本当に彼らのためになるのか、業界や社会のためになるのか、甚だ疑問に思う。

目次

胡散臭いプログラミングスクール界隈

この界隈はもはや面白キャッチコピーパワーワードの宝庫である。マンションポエムとはまた違った趣がある。最近のお気に入りは「タイとフィリピンでリモートワーク」だ。この業界の人たちはなぜこうも東南アジアでのライフスタイルを推したがるのだろう。とにもかくにも言葉のチョイスがダサい。「ノマドエンジニア」や「フリーエンジニア」などという趣味の悪い和製英語を有難がって使い続けている。終いには「南国で悠々自適なノマドエンジニア生活」と来たもんだ。 他にも「独学は9割が挫折」「スクールが最適」といった都合の良い風潮と勧誘手法、「受講中に案件をこなせば受講料のペイが可能」といった非現実的で無責任な謳い文句も散見される。これは流石に笑えない。

SNS上でよく見かける「駆け出しエンジニアと繋がりたい」タグもなかなか秀逸だ。だいたいなんでこいつら、こぞって浜辺でインスタ映えする写真ばっか上げてんだよ。夜景の綺麗な最上階のレストランでディナーばっか食ってないでエンジニアリングやコードの話をしろよ。お前のブログ、プログラミングスクールの紹介しかしてねえじゃねえか。変な名言風のポエムと精神論と説教ばっかじゃねえか。月商150万円っていくら何でも盛りすぎだろ。儲かっている風を装って消費者を取り込もうとしているのが見え見えだぞ。こいつらいずれ札束の風呂でダブルピースし始めるんじゃねえのか。

今はダマされる人間よりもダマす側の人間のほうが圧倒的に多いのではないか。むしろ騙す側の彼らもまた可哀想な被害者なのかもしれない(なんかさっきはキツイこと言ってゴメンな)。騙された人間が終いには騙す側に転ずるわけだ。この不幸の連鎖のなんと恐ろしいことか。これが現代で形を変えたネズミ講やマルチ商法の有様か。

そういえば、昔読んだ創作に「楽に儲ける方法教えます(一冊:30万円)」的なやつがあって、主人公はなけなしの金をはたいてその本を買うんだけど、その本にはたった一言「儲けたいなら俺と同じことをしろ」とだけ書いてあって、結局主人公はその詐欺師と同じ道を歩むことになるっていう、無限ループって怖くね?的な話だったかな。もうほとんど忘れてしまったけど、また読みてえな。
だいたいフリーエンジニアってなんだよ? 自由なエンジニアなのか。 フリーランスのエンジニア? タダ当然の賃金で都合よく働いてくれる奴隷のようなエンジニアのことか?

狙われるプログラミング業界

アフィリエイトやビットコインが下火になり、最近ではオンラインサロンや学習スクールで金儲けをする者たちが増えている。底辺に生きる情報弱者たちを食い物にする所は相変わらず変わっていない。

甘い夢を見せて信者を煽る。昔から何一つ変わっていない。

あろうことか最近ではIT業界とプログラミング教育ビジネスが彼らのターゲットになりつつある。

売る側(商材屋)も宣伝する側(アフィリエイター)も相思相愛、同じ穴のムジナで上手く共生しているものだから、目も当てられない。

彼らに好き放題やらせた結果、そのしわ寄せを食うのは現場のエンジニアである。

今、プログラミング教育ビジネスをしている人たちは「金を掘る道具を売る人たち」そのものである。彼らの口車に乗って痛い目にあわないよう注意してもらいたい。金はもう無くなりかけている。

表向きは華やかに見えるその業界も、夢のある彼らのライフスタイルも、誇大な幻想に過ぎない。この業界に安定はないし、この業界に未来はない。この業界で待っているのは名ばかりエンジニア職や客先常駐という名の派遣労働、みなし残業、長時間労働、経歴偽装、スキルの安売り、価格競争という血で血を洗う骨肉の争いである。ロックスターを夢見る中年ギターリストや一攫千金を夢見るリアルマネートレーダーよろしく、売れない個人ゲーム開発者や在宅エンジニアという名の准ニートになる未来も待っている。

単価の高い派遣エンジニアのおまけとして付いてくる見習いエンジニアとなって、終わりの見えない仕事を終電の時間まで毎日こなす、そんな生活が待っている。

この業界は君たちの逃げ場所ではないし、ここに君たちの居場所はない。

隣の芝生は青く見えるものだ。君たちがエンジニア職に淡い期待を抱いているのと同じように、この業界のエンジニアもまた異業種に対して根拠のない期待と憧れを抱いている。

君たちは都会に憧れる田舎者や田舎に憧れる都会人と同じ選択をしようとしている。そのことを自覚しなければならない。

IT業界のエンジニア職に幻想を抱きすぎだと思う|プログラマ・SEはキツイ

人手不足という甘い誘惑

人手不足と言われて期待と希望に胸を膨らませている人たちには申し訳ないが、この業界が求めているのは即戦力と高度なスキルを持った上級エンジニアであり、オートメーション化による代替が容易な下級エンジニアではない。プログラミングスクール上がりでぽっと出の即席エンジニアには人余りの波に飲まれる未来しか待っていない。この将来的なミスマッチとコスパの悪さに気づけない人間はいつまでたっても搾取され続ける。「人手不足」という言葉がプログラミング教育ビジネス界隈や人材業界で都合良く使われている実情に気づいてほしい。

夢を追って新しいことに挑戦し努力することは大事なことだ。それができる人たちは人間的で貴い存在といえる。しかしそういう人たちを食い物にする者たちがいることも忘れてはならない。私はそういう者たちが憎くてしょうがない。

プログラマ定年説の真意

プログラマの35歳定年説から目を背けてはならない。思うにあの冗談には身を削って働くプログラマへの皮肉が込められている。あんな働き方を35を過ぎるまで続けていたら身が持たない。

日進月歩のIT業界においてプログラマは使い捨ての消耗品に過ぎないのだ。

たとえ学ぶことを諦め、上流に逃れたとしても、無意味で非生産的な作業や何度も繰り返されるテスト消化、無駄なエビデンス作り、不毛な駆け引き、みなし残業、長時間労働、デスマーチが止むことはない。

終電までズルズルと働き、表計算ソフトに画像をペタペタと貼り付ける人生に何の喜びがあるというのか。

プログラミング教育ビジネス業界の闇

プログラミングの義務教育化とITエンジニアの人手不足問題で注目されている業界だから売りやすいのだろう。

しかし彼らのやっていることの本質は情報商材ビジネスとなんら変わらないものだ。実際に情報商材屋のメソッドに則った業者も多い。

美味しい話でプログラミングスクールに入会させて、向き不向きの強いプログラミングに挫折し退会する生徒から解約金を巻き上げるような、不誠実で詐欺まがいのビジネスモデルもある。

昔は派遣会社がプログラミング未経験の人を雇い、会社の金や国の補助金で研修を受けさせていたが、最近ではプログラミングスクールがエンジニア志望の人たちから受講料を取って教育し、派遣会社に売り飛ばすような業界構造が台頭しつつある。

醜悪至極で見苦しい。情報に疎い弱者を搾取し、あまつさえ彼らを奴隷システムへと容赦なく組み込んでいく。これほど無慈悲で醜いビジネスモデルが、未だかつてあっただろうか。これぞ貧困ビジネスの極み。搾取社会の究極形である。

2021年の現在では、未経験エンジニア向けに実務経験をお金で買えるサービスも登場した。要はお金を払って仕事をするというものだ。IT業界に就職するための実績作りというわけだ。プログラミング教育ビジネス業界のマッチポンプと言うにふさわしい状況である。企業が未経験のエンジニアを雇って教育を施す文化はなくなり、これまでの負担は全て個人が背負う時代になろうとしているのだろう。企業が負うべき責任を個人が負う社会というのはなかなかの格差社会ではないか。

本当にエンジニアになりたいなら、怪しいプログラミングスクールになんて通わずに、ハローワークで無料の職業訓練を受けたほうが良い。国を利用しろ。そのために税金を払ってきたんだ。受講中は失業保険の延長も可能だぞ。もちろん雇用保険に入っていなくても職業訓練は受けられる。

大体、おじさんはプログラミングの勉強に何十万という大金をかける常識がそもそも理解できない。本代に1万ほど叩けば勉強なんていくらでもできるだろう。教本が理解できないならそもそもプログラマに向いてない気がするし、ドキュメントや仕様書、客の要望はもっと理解できないだろう。もちろん、今はプログラミングがオタクやマニアだけものではないということは理解している。時代が変わったのだ。そしてその分だけ悪い人間も増えた。無知を騙そうとする悪い人間が。

ちなみに私の経験上、独学でプログラミングを始めた人たちは往々にして優れたエンジニアであることが多いと感じる。優秀な人材を発掘する際のバロメーターとして有効なので参考にされるとよい。

フリーランスの蔓延と価格競争

フリーランスのエンジニア職が主流の時代になると、この市場は確実にレッドオーシャン化する。

競争過多のフリーランスは利益の最大化よりもまず仕事が得られるかどうかが死活問題となる。よってスキルの安売りと業界全体の価格破壊が起こる。

やり手の営業マンに管理されていた派遣・SES時代のほうがまだマシだったと嘆くことになるだろう。フリーランスと企業を結びつけるためのエージェント業も出てくるかもしれない。なかなか本末転倒ではないか。

あるいはその時代では従順で取り回しのよい安心安定のSESのほうが重宝されるようになるのかもしれない。フリーランスの悪評が流布される時代もやってくるのだろうか。いずれにしろフリーランスのシワ寄せは確実に既存のエンジニアたちにも降りかかってくる。

だいたいフリーランスなんてものは一部の優秀な人材がやっていたからこそ成り立っていた業種なのだ。素人が安易に手を出せるようなものではない。フリーランスになれば、年金や保険料、経費、交通費も全て自分で負担しなければならない。単価の高い優秀なエンジニアでないかぎりフリーランスは割に合わない。皆薄々気づき始めているはずだ。だからこそ最近のスクール業界は副業路線に転換し始めているくらいなのだ。

素人が安易にフリーランスを目指すべきではない。死ぬまで勉強し常に市場を冷静に見極め利益の最大化に努める意志のある者だけがフリーランスを名乗りなさい。

おまけ

楽をして稼ぐプログラマという幻想

楽をして稼ぐためにプログラマになりたいなんて思ってる人はプログラマに向いていないと思う。

実際に楽な仕事ではないし。

よくわからない業界だからインフルエンサーたちはあんな無責任なことが言えるのだろう。

そもそも、プログラマの言う「楽」は人々の常識とは大きく異なったものだ。10分の手作業で終わる作業を一秒で終わらせるために1時間かけて作業を自動化することに楽しさを見いだせるような、変わった人たちが多いのがこの業界だ。

実績やスキルを盛る人たち

ところで最近のクラウドソーシング界隈では高学歴アピールをするエンジニアをやたらと多く見かけるな。あといろいろと盛ってる人がいる。バイトリーダー経験やサークルのマネジメント経験が豊富な就活生たちを思い出す。

スキルを盛ると認識の齟齬が生まれてプロジェクトの炎上にも繋がる。もうこの業界が行き着く先には地獄しか見えない。

プログラミング業界のマルチ商法に注意

「プログラミング講師になろう」という類のマルチ商法が今後生まれてくるだろうと予想できる。プログラミングスキルやコーチングスキルを身に着け、別の新たな生徒にそのスキルを教えるというものだ。生徒はいずれ講師となり、また新たな生徒(会員)にプログラミングを教えることになる。最初のうちはそれなりに上手く回るだろう。効率は悪いが、その効率の悪さと目的の明確さこそがこの商法の胡散臭さを曖昧にしてくれる。会員は自分が騙されていることにもなかなか気づけない。それどころか社会的意義ややりがいすら感じ始める。気づいた頃にはクーリングオフ期間も過ぎてしまっている。

このプランが画期的で優れたものなのかどうか、一般人で純真無垢の私には理解もできないが、少しでも納得し可能性を見出してしまったあなたは、おそらく詐欺に騙されやすいタイプか、血も涙もないクソ野郎なので、きっとこの先ろくな死に方をしないだろう。

そもそも、プログラミングスクール自体がこの手のビジネスモデルをとっている節がある。実際に、自社の卒業生を講師として雇っているプログラミングスクールも実在する。確かに、それならプログラミングスクール講師の質が年々低くなっていることにも納得がいく。ねずみ講みが深い。

駆け出しエンジニアの皆さんへ

プログラマってのは本当に大変な仕事だぞ。自分の犯した小さなミスが人を殺すことだってあるからな。デスマになれば胃を壊す人やうつ病になる人も出てくるし過労死に繋がる場合もある。こんな世界でも本当にエンジニアになりたいと思えるか?

責任も覚悟もない人間はこの業界に来るべきではないので、今すぐ回れ右してママの所に帰るんだな。

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