被災地へ赴いたボランティアたちが火事場泥棒を行っているというニュースを知った。
日本は火事場泥棒が蔓延るような貧しい国になったのだなと、つくづく思い知らされる。
ただあれは生活に困っている人たちが苦しみの果てに火事場泥棒をしているというよりは、ある程度生活に余裕のある強欲な人たちがカジュアルに犯罪に踏み切っているのではないかなという感じがする。
「生きるために盗む」という感じではないと思う。
「もっと稼ぎたい」という欲望がその根底にあるのではないだろうか。
これは日本が稼げない国になったことの結果だと思う。
まっとうな方法で稼げるような時代では無くなってしまったからだ。
そんな時代でも人は贅沢や安泰を求める。
それを追い求める意欲や本能が人間を人間たらしめている。
稼げなくなった国にあってなおも意欲に満ちた人達は、もはや犯罪を犯すことでしか生きることの実感が得られなくなってしまったのではないか。
この手の犯罪というのは「生活に困った人たち」が苦悩と葛藤の末に起こすものではなく「ある程度の余裕を持った欲深い人たち」や「欲望のために自己を正当化する人たち」によって起こされるというのが、私の見方である。それならばこそなおさら看過されない犯罪となるのである。
本当の貧しさに陥った人間は犯罪を起こす気力すら持てないものである。