KORG製ミニ鍵盤のタッチに関する技術考察

10年ほど前に製造された初期のKORG microKEYは、鍵盤のタッチが若干重めに作られているように感じる。

一方で、つい最近楽器店で試し弾きした現行のmicroKEY2は、タッチがかなり軽くなっていて、とても弾きやすく感じられた。

現行機種はキーストロークも若干深めで指馴染みが良く、キーの底打ち感も柔らかく感じられる。

私が所有している初期のナチュラル・タッチ・ミニ・キーボードとは明らかにタッチが異なっているように思うのだが、これは気のせいだろうか。

店頭と自宅では状況も姿勢も気分も違うだろうから、それでタッチに違いが感じられてしまうのではないかとも考えられそうだが、それにしてもタッチが明らかに違いすぎる。

ちなみに私が所有している初期型のmicroKEYはキーストロークが「6mm」に設定されている。現行機種のストローク長が気になるところだ。

おそらく現行機種では、これがもっと深めに設定されているはずである。キーストロークを深めに設計する場合、ラバードームの高さが若干高めになるはずなので、それによってタッチ感が初期型の物と変わってしまうことは十分にあり得る。ゴムのたわみに余裕が生まれるので、その分だけ反発力が弱くなると考えられるためだ。あるいは単純に反発力の弱い薄手のラバーが用いられているとも考えられる。

あとはプラスチック部分の反発力の違いによるタッチ感への影響も考えられるが、私はラバーの反発力によるタッチ感への影響の方が大きいと見ている。

その場合、初期型の重たいタッチを現行機種の軽いタッチに近づけるには、ラバードームの肉抜きが必要になるが、MIDI鍵盤の2センサー方式の場合は、ホコリの混入によるタッチセンスの不具合が心配になる。ホコリの混入によってタッチセンスのタイミングにズレが生じ、ベロシティが狂ってしまう可能性が考えられるためだ。

調べたところ、microKEYのキースイッチは文字入力用キーボードのシートタイプとは違い、どうやらラバードームの側に接点を持つタイプが用いられているように思われる。そのためラバーに穴を開ける改造は、ホコリの混入や空気による基盤のサビが原因となってキーの反応を悪くしてしまう恐れがある。
またmicroKEYは外側のドームと内側のラバーで2種類の反発を利用する構造を取っているようだ。外側のドームは1つ目のセンサーのためのものであり、内側の反発は2つ目のセンサーのためのものだろう。外側のドームを肉抜きしても内側のラバーの反発力が残ってしまうという問題がある。

プラスチック部品の反発力を弱めるような改造は強度低下による破損の心配があるため、あまり現実的ではない。なおキーストロークの浅さは設計上どうにもできないだろう。

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