禁断の果実を貪り食う資本家たち
末端の労働者が安い賃金で働かされている一方で、会社の社長や役員は多額の報酬を得ている。
株主や資本家、富裕層だけが甘い蜜を独占している。
労働者から搾り取った禁断の蜜である。
企業は従業員に対して安月給で高いノルマを課し、長時間労働を強いている。
みなし残業や名ばかりの管理職、技術職、裁量労働制で残業代を抑えようとしている。
少ないアルバイト従業員で無理やり仕事を切り回している。
そうやって削減された人件費は、役員の報酬や株主の配当、営業利益、内部留保に充てられる。
資本家は労働者を酷使し彼らの利益を搾取することで自分たちの私腹を肥やしてきたのだ。
スキルのない就職氷河期世代は企業に足元を見られ、契約社員や派遣、請負、アルバイトという企業側に有利な条件で働かされ続けている。上に這い上がれず頑張っても報われない社会システムに彼らを閉じ込め続けている。養分となる弱者がいなければ、強者は楽をできなくなるからだ。
企業が高い株価と成長率を追い求めた結果、労働者が軽視されるようになり、労働者にとって生きづらい社会が常態化してしまった。多くの企業が労働搾取に追従し、後戻りのできない状態にまでなってしまった。
しかし企業間の熾烈な競争と資本家の欲望はとどまる所を知らない。
労働者は極限状態のまま更なる加速を強いられている。
目次
富裕層への税優遇と消費税
国も国で金持ちを優遇しすぎている。
消費税は引き上げても最低賃金はほとんど引き上げないという矛盾。
これは経済界への忖度そのものである。
所得税・相続税・法人税ではなく消費税の方を増税するという愚策。
これは持てる者への優遇であり、そのしわ寄せを食うのは持たざる者たちである。
国は、優良企業や高額納税者が国外に逃げてしまうことを避けるため、また税負担が一部の層に集中してしまうことの不公平さと不安定さに憂慮するという建前で、所得税・相続税・法人税を引き下げ、富裕層を優遇してきた。そしてその穴を埋めるために消費税を引き上げてきたのである。
つまり、国は富裕層を優遇し、その負担を貧困層に背負わせているのである。
結局は富裕層だけが得をし、一般大衆が割を食う形にしかなっていないのである。
これは実に恐ろしい事実であろう。
富裕層は労働搾取で労働者の利益を搾取するだけでなく、税制面でも大衆の富を搾取しているのだ。
これはまさしく「二重搾取」という重大な問題なのである。
また、この消費税の引き上げと富裕層への税優遇は世界的な流れとなっており、グローバル社会はこの富裕層争奪戦と優遇競争の悪循環に陥っている。
まさに消費税は格差社会の象徴なのである。
消費税は貧困層を苦しめる
消費税を引き上げられて一番苦しい思いをするのは低所得者だ。
消費増税はギリギリで生活する人たちを更に苦しめることになる。
消費税増税は、貯金もできない労働者から金を毟り取るような政策なのである。
にもかかわらず、最低賃金の引き上げは微々たるものだ。
つまりもっと働けということである。
生活水準を下げろということである。
このような社会構造における消費税は、真に平等・公平な税といえるのだろうか。
貧困層は収入に対する消費の割合が極めて大きい。
しかもその多くは生きるために必要な支出である。
消費税はそのギリギリの家計に更なる追い打ちをかけるものとなる。
欲しいものを爆買いし贅沢をしてもなお収入の比重が消費のそれを遥かに上回る富裕層とは訳が違う。
消費税は貧困層にとって明らかに不利なシステムなのである。
消費税は金持ちをより金持ちにし、貧乏人をより貧乏にする。
消費税は格差を広げる存在なのである。
富裕層に抗えない社会
国民はなぜ不満の声を上げないのか。
国民は自分たちがいかに不利な立場にあるかを理解していないのだろう。
本来であればメディアがその現実を知らしめ、世論を喚起するべきなのだが、彼らもまた企業やスポンサーへの忖度を働かせる立場にあるため、控えめな報道に留めてしまう。
政治家もまた、自分たちの保身のために、社会を変えようとしない。
富裕層の間で歪んだ共生関係が築かれてしまっているのである。
皆自分たちの優位なポジションを守ることに必死なのだ。
腐敗した社会を変えるよりも、格差社会の上位層に入り込み、そこに居座り続けるほうが遥かに楽で現実的なのである。
だから皆、必死になって政治家や経営者を目指している。
彼らは社会を良くしたいのではなく、禁断の果実を得たいだけなのだ。
この世は欲望で成り立つ虚構にすぎない。
企業や団体は自分たちの既得権益を守るために、従業員や会員に対して安定政権への投票を促している。
組織票と呼ばれるものだ。
労働者はそうやって何も分からず、支配層の都合の良い駒として利用され、無自覚に搾取され続けている。
資本主義社会というこの世の地獄
資本主義社会は資本家にとっては楽園のような世界だが、労働者にとっては地獄そのものである。
川の上流にいる資本家は新鮮で美味しい水を飲めるが、下流に追いやられた労働者は汚れた水しか飲めない。汚れた水が当たり前だと思っている無自覚な労働者もいるからなおさら恐ろしい。
流しそうめん会場に設置された竹水路の上流で待ち構えている資本家だけが悠々と麺をすすり、下流にいる労働者は取りこぼされた数本の麺を必死にすくい取っている。
これが資本主義社会である。