ガリレイドンナは優れた駄作【アニメ感想・レビュー】

ガリレイドンナのレビューと感想です。ネタバレはありません。個人的にはオススメのアニメ作品です。

オリジナルアニメ

意外と奥の深いタイプのアニメだと感じました。さすがオリジナルアニメといったところです。この手のオリジナルアニメはメッセージ性の強い物が多く、世界観やストーリー設定もよく考えて作られています。90年代後半の日本のアニメーションのような懐かしさや活気が感じられる作品でした。ウィザード・バリスターズや R.O.D のような、世界観で魅せるタイプの作品といった印象です。

とはいっても、ガリドンは可愛い女の子や綺麗なお姉さんが出てくる今風のアニメなので、それほど構える必要は無いと思います。難解な内容でもないですし、気軽に見られる作品です。深夜アニメにするにはもったいない気がしました。思春期の若者にもっともオススメしたいアニメです。

内容

アドベンチャー物のワクワク感

肝心な内容ですが、超能力バトル物・・・ではなく、ガリレオ・ガリレイの子孫である三姉妹がガリレオの遺産を探す旅に出るという「アドベンチャー物」です。正確には「バトルアクションアドベンチャー」だそうです。バトルは大切ですよね。

キービジュアルだけをみると魔法少女物や怪盗物、超能力バトル物っぽい印象を受けるのですが、よく見ると三姉妹とも旅行かばんを抱えてますね。私はそれに気づかず長らくスルーし続けていたのですが、もう少しイタリアの町並みやスチームパンクっぽさが全面に出ていればリアルタイムで見ていたかもしれません。

近未来SF風のアンバンランス感

とはいっても実際の作品はスチームパンクっぽさがあまりないです。一話の町並みや小道具にはグッとくるものがありましたがあくまで近代SF的です。時代設定が西暦2061年で CG も多用されているため、全体的に油臭さの少ない作品に仕上がっています。近未来物のロボットアニメやメカ好きの受けは良いかもしれません。

制作が A-1 Pictures だからなのか、所々「ビビッドレッド・オペレーション」っぽさを感じさせられました。作画やキャラクターデザインも非常に高いレベルのものでした。人を選ぶタイプの作品にも関わらず、全体のクオリティーが異様なほど高いのが印象的です。

優れた駄作

ただ世間的な評価はあまり良くない作品のようです。たしかに話数が少ない作品なので(全11話)、後半はかなり詰め込んでる感がありました。2クールなら各登場人物の活躍をもっと掘り下げられて、世界観も相当広がった気がします(長ければ良いというわけでもないのですが)。ベースとなる世界観や設定が優れているだけに、非常にもったいない気がしました。しかしトータルで見れば優れた良い作品です。1クールフル(全13話)で放送できればもう少しわかり易い作品になったのではないかという気がします。アニメ版で消化不良気味だった人は小説版を読むのもありかもしれません。

なお小説版はアニメ版をベースにしたオリジナルストーリーとなっています。後半からの展開が大きく異なります。個人的にはアニメ版を見てから読むことをオススメします。アニメ版に物足りなさを感じた人には特にオススメしたいSF作品です。

感想

家族愛の他に少数派、いわゆるマイノリティが本作品の重要なテーマになっているように思います。「ガリレオ・ガリレイ」と言えば「地動説」を唱えたことで有名ですが、当時は誰にも相手にされないばかりか、異端者として扱われていたほどでした。

本作品ではそのような「はみ出し者」やマイノリティに対する偏見や差別、才能への嫉妬や持つ者の苦悩・戸惑いというものを、フェラーリ三姉妹という性格や視点が全く異なる姉妹の存在を借りて、非常に上手く描かれています。

現代に生きる我々も、皆少なからず他人とは違う何かを抱えて生きていると思うのですが、本作品はそのようなものに対する見方や考え方、解決策を提示してくれるものになっているのではないかと感じます。

自身が持つマイノリティな側面や、人とは違う考え方や信念を信じ貫くことの大切さに気づかせてくれる作品になるはずです。

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