2001年頃のOVA作品です。いわゆるメディアミックス作品であり、ライトノベルが原作となっています。アニメ版とラノベ版では設定や世界観が若干異なっており、また時系列も異なるため、アニメと原作で二度楽しめる作品となっています。
作品のジャンルとしては、いわゆる超能力物になるかもしれません。「文系アクション」と呼ばれているそうです。紙を自在に操る能力をもった地味でマイペースな女性が主人公です。ちなみにこの主人公はイギリス国立図書館の特殊工作員という設定です。都心の雑居ビルの屋上に建てられたプレハブ小屋で一人暮らしているようです。少年心や中二心がくすぐられます。最近の美少女や女子高校生ばかりが活躍するアニメとはひと味違った作品に仕上がっています。
「CODE-E」や「DARKER THAN BLACK」あたりの作品を好む人には特にオススメしたい作品です。「文豪ストレイドッグス」や「とある魔術の禁書目録」のシリーズが好きな世代にも受け入れられる作品となっているようにも思います。また「カウボーイビバップ」や「MEZZO」シリーズなどのあの時代の日本のアニメが好きな人達の受けも良さそうな気がします。
今回紹介したOVA版とは別に「R.O.D -THE TV-」というTVアニメ版も存在しますが、時系列的にも内容的にもOVAの方を先に見ることをおすすめします。また原作よりも先にOVAを見ることも勧めたいです。オススメは「OVA → TV →(原作 → 漫画)」の順番です。
肝心な内容ですが、本作品はこの時代のOVA作品らしく、内容やストーリーが大変上手くまとまっており、本作品単体で十分に楽しめる物となっています。全三話、合計90分の作品ですが、まるでアニメ映画のような出来です。オープニングや音楽、演出も大変素晴らしく、劇場版と言われても違和感のない完成度でした。
日本のアニメーションの魅力が全て詰まっているような作品です。古き良き時代のアニメを思い出させてくれるような作品だと感じました。
オタクコンテンツ産業の一時代とその終わりを象徴したような作品だとも思います。ちょうどこの頃からDVDが大きく普及し、VHSの衰退が始まりました。オタク文化がより身近でカジュアルなものへと変わり始めようとしていました。その後は大量消費の時代が始まり、受け手に媚びた安定重視の設定や、軽く浅く分かりやすい作品、原作をなぞっただけのような安心路線の作品、美少女ゲーム原作、青少年向けのあざといエロスを前面に出したような作品が増えていきました。セカイ系が一般化し始め、オタクの定義が変わり、ゼロ年代という新しい時代が始まる中で、時代の始まりではなく終わりを象徴したかのような作品といった印象を受けました。
この作品には受け手と作り手が忘れてしまったものや、古き良き時代へのノスタルジーみたいなものが詰まっているようにも感じます。