主人公を無条件に愛するヒロインが拒絶される理由

主人公のことを無条件に好いてくれる系のヒロインはなぜ主人公から拒絶される存在として描かれるのだろうか。

作品の受け手である自分からすれば、何もない自分を無条件に愛してくれる女性なんて有り難い存在この上ないし、相手に好かれる努力をしなくてもよいのは楽で良い。怒涛の愛を示してくれるヒロインにはもはや「このヒロインは絶対に自分を嫌わない(裏切らない)」という安心感さえ覚える。ヒロインは自信のない自分を無条件に受け入れてくれる優しい女神のような存在と言える。

なのに主人公はなぜそんな都合の良い押しかけヒロインを拒絶するのだろうか。

この手の主人公がヒロインを拒絶するのは、おそらく、そのヒロインを受け入れた後に「ヒロインから幻滅されてしまう」ことの恐怖を覚えているためではないだろうか。血の繋がりのない赤の他人からの束縛と無償の愛が不気味で恐ろしいものに感じられてしまうのだろう。

相手が金で雇ったメイドや、恩を返しに来たツルの化身ならともかく、それが明確な理由もなく自分のことを好いてくれるような信用ならない存在なら、なおさらその相手のことを愛する自信が持てなくなる。

だから主人公は自分が愛されるに値する存在であるという確証を得ようと奮闘せざるを得ない。そしてその姿勢をもって「ヒロインに受け入れられたい」という対等な意思もといヒロインへの愛を示すようになる。そんな主人公の真っ当な姿勢は、物語の受け手に多大な罪悪感を与え、その者たちの幼稚な根性さえもを改めさせる。

主人公が欲しているのはお互いを求め合う確かな愛なのだ。

なんとも贅沢で七面倒臭せえ奴らである。

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