2007年以降の爽やか系テクノポップの起源が気になる

ハウスのリズムを基調としたキラキラ系のエレクトロポップが一時期流行っていたけれど、あの独特の世界観は一体どの界隈から生まれたものなのだろう。

例えるなら、Perfumeみたいなキラキラ・ピコピコとしたシンセ音に、ノコギリ波の原音を強調したような中田ヤスタカ風のブリブリとしたベースをオクターブ間で交互に鳴らして、サビの直前ではlivetune(kz)や八王子Pがよくやるようなスパーンと爽やかな効果音とか、ババーンとド派手な効果音みたいなやつを加えて盛り上げていくような感じの曲だ。

この手の曲は挙げればキリがないのだけれど、ぱっと思い浮かんだものとしては、

等が挙げられる。

海外の「オラオラ感」の強いEDMとは対照的な「オタク臭さ」みたいなものがあって、結構好きだったんだよな。女性的で、か弱そうなのに芯はシャープで煌びやかな感じがとても眩しく見えた。

この手のジャンルはアニソンや、アイドルソング、リズムゲーム、クラブミュージックなどの影響を受けたアキバ系のDJ界隈が流行らせたのだろうか。そこから発展したのがミクノポップという気もする。少なくともボカロ以前からあるムーブメントだということは間違いなさそうだ。

そういえば当時は乙女ハウスなんてものも流行っていた。
元気ロケッツの「Heavenly Star(2007年)」は爽やか系の代表格という感じもする。

ただハウス色が強すぎるためか、あまりテクノポップ感は感じられない。またボーカルの声色が大人びているため、アイドルソング感もない。だがオシャレ感は強い。

また当時より以前のアニソン界隈ではアキシブ系が流行っていたが、こちらはR&B色が強い。中田ヤスタカはエレクトロ系の楽曲においてもエレピやアコギ等のアコースティック系の音を多用する傾向にあるが、あれは彼が渋谷系の影響を強く受けていることと関係しているのだろうか。

ニコニコ動画の文化とオタクカルチャーが大いに花開いた2007年当時の時代と比べると、まだ暗雲垂れ込めたような閉塞感のある雰囲気が残っている。強い不安の中で何とか明るく振る舞って勇気を絞り出しているような、あるいは単純に空元気な、そんな印象を受ける。前向きさと憂鬱さの狭間で揺らいでいる感じが、あの時代のコンテンツにはあった。そこではある種の安堵感やチル感のようなものをも感じさせてくれる。人々が多くの悩みに直面する苦悩の時代には「R&B/HIPHOP」ジャンルの曲が流行り、人々が希望を見出し解放的となる時代では、「DANCE」ジャンルすなわちエレクトロ系の曲が流行る傾向にあるように思うのだが、2007年というのは、その鬱的な時代と躁的な時代の両者の大きな転換点となっているようにも思う。加えて初音ミクという存在は、その時代の転換を象徴する存在となっているようにも思える。初音ミクの登場はこの上ないほど絶妙なタイミングにあったと言える。もしも初音ミクが、まだPerfumeがヒットしていないアキシブ時代に生まれていたなら、彼女はあれほどまでに未来的でポップなデビューは果たせなかったと思う。

アイドルソング界隈の影響は相当大きいのではないだろうか。

とりわけ中田ヤスタカの存在感は相当に大きかったように思う。「Perfumeみたいな感じの曲にしてください」なんて要望はアイドル業界に限らず、アニメ業界にも見られたものなのではないだろうか。彼のエポックメーカーとしての存在には確かなものがあったと思う。「MEG」のプロデューサーを2007年の段階で務めたのも彼だ。こちらは「きゃりーぱみゅぱみゅ」のカワイイ文化と乙女ハウス界隈のエロチックさのちょうど中間を感じさせるコンセプトとなっている。

  • きゃりーの前身を思わせるMEGの「OK」(2007年

とにもかくにも、あの時代のエレクトロポップ感のあるサウンドがとても好きなのだ。あの雰囲気は本場のハウス(フレンチ・ハウス? エレクトロ・ハウス?)とはまた異なったものであり、あれは日本の中でしか発展し得ないものだとも思う。

テクノポップとアイドルソングにハウスのリズムを取り入れたようなジャンル、というのが私の印象である。エロさ(オシャレ感)とカワイさ(未成熟感)が混在したような不思議なジャンルである。

このエロ可愛さというギャップが当時の私にはとても新鮮に映った。未熟な少女性を帯びたボーカルに、無垢で煌びやかな上モノが添えられ、それらがどぎつい男性的なキックとベースに支えられるという構図に、後ろめたいほどのエロスを感じてしまうのである。

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