アニメコンテンツの未来 〜そろそろ「俺の娘」って言葉が出てきても良いんじゃないかな〜

俺の嫁という言葉は既にある

「俺の嫁」という言葉はよく聞く。大好きなマンガやアニメのキャラクターに対して世のオタク達が使う言葉のことだ。

しかし最近のアニメを見ていると、嫁という感覚よりはむしろ娘という感覚のほうを強く感じさせられることが多い。キャラクターをまるで自分の娘のように愛おしく感じてしまう。単に自分がおっさんでロリコンなだけなのかもしれないけれど。

オタクの高齢化

私に限らず、今のオタクって実はものすごく高齢化してるんじゃないかと感じる。それに応じてロリコン向けの幼い系キャラも増えているのではないかな。

事実、近年リリースされたアニメはやたらと母性本能をくすぐる可愛らしいキャラクターデザインが目立つ。16歳という設定なのに実際には8才くらいにしか見えないキャラクターが沢山出てくる。

4コマ原作ブームの流れも当然影響しているんだろうけれど、アニメキャラクターのデザインはどこも丸っこくて可愛らしいものが多くなった。昔のアニメキャラはもっと骨々しくてアゴも尖っていたのに、今は鼻が小さくてほっぺたの丸いキャラクターが多い。まるで幼い子供のようだ

母性愛(父性愛)の対象としてのキャラクタ

そうなるといよいよ「俺の娘」「俺の子」みたいな言葉が流行り出しても良い頃合いなのかなと考え始める。そもそも幼女キャラを「俺の嫁」などと豪語する奴らにろくなロリコンはいない。何十も歳の離れたか弱い少女達を自分の嫁呼ばわりするオタク共は、キモオタとか犯罪者予備軍なんて呼ばれても致し方ない。

だがどうだろう。「俺の娘」と言うとなんだかちょっとほのぼのとした印象を受けるではないか。キャラクターを性愛の対象として見ているのではなく、母性愛の対象として見ているという意思が伝わってくる。まあ、キモイことに変わりはないのだけど。

オタク第三世代をターゲットとした未来

90年代にアキバやコミケに通っていたオタクたちが当時10代〜30代だったと考えると、今はおそらく30代〜50代。年齢的には35歳〜55歳になる。ちょうど子供を産んだり育てたりしている世代だ。この領域のオタクはエヴァ世代とかオタク第三世代とか言われている。あと当然ガンダム世代(第二世代)も含まれる。

子育てから解放される世代も多く含まれているため、マンガ業界・アニメ業界に限らず市場にとってはとても魅力的な世代でもある。

おっさん向けコンテンツへの期待

今のマンガ・アニメがこの世代の需要を反映させたものであるとすれば、おそらく今後のマンガ・アニメ業界は彼らが更に高齢化して行った際の需要もそれなりに反映してゆくのではないかと予想できる。

おそらく今後は大人の趣味を扱ったマンガやアニメが出てくるだろう。 女子高生が鉄道研究部で活躍する話(テッケン!)とか、女子高生がオーディオやカメラ、アマチュア無線(ハム☆ケン)を始めたり、女子高生が電子工作、山登り、盆栽、ゴルフに目覚める話とか、なんかめちゃくちゃつまらなそうだけど、意外と新感覚でウケるかもしれない。メーカ間のタイアップまで考えると妙な現実味も帯びてくる。

女子高生が山登りする作品(ヤマノススメ)は既にある。マニア向けだと、女子高生が戦車に乗って何とかするアニメとか、女子高生がサバゲーするアニメなんてものもある。女子高生ではないが、女子大生と電子工作をテーマにした『ハルロック』という作品もあったりする。

趣旨は異なるが「のんのんびより」みたいな昭和の香りや幼少期を感じさせてくれるレトロでノスタルジックな作品はおっさん世代ほど受け入れられているように思う。個人的には今後もこの手の作品が増えてくれると嬉しいのだけど。

業界主体のコンテンツが伸びる

来年公開予定の「だがしかし」なんかは、そういう意味で良く考えられた作品だと思う。この作品は明らかに若者から大人までの幅広い世代をターゲットにしている。駄菓子メーカーとのコラボも決まっているようで、両業界かなり本気モードであることが伝わってくる。

業界とのコラボと言えば、同時期にアニメ化が決まった「ばくおん!!」はもっと早い時期からバイク業界やらと色々なコラボをしていた。警視庁とのコラボは割と有名である。

「けいおん!」における音楽業界や「だがしかし」における駄菓子業界、「ばくおん!!」におけるバイク業界、「頭文字D」における自動車業界、「響け!ユーフォニアム」における吹奏楽のように、巨大な業界やバックグラウンドを持ち合わせた作品は今後も伸びていくだろう。この手の作品はスポンサーだけでなくユーザの関心や好奇心を誘う。アニオタを新しい市場に取り込めるだけでなく、今までマンガやアニメを見なかった層が業界繋がりでそれらを見始めるなんてことも起こりうる。

マンガやアニメをきっかけに、舞台となった地元が盛り上がるなんて話は良く聞くけれど、今後は同じ手法で業界を盛り上げるという考えが主流になっていくのかもしれない。マンガやアニメにビジネスの道具としての側面を強く求められる時代がやってくるだろう。

業界を意識した作品作り

今後のマンガやライトノベル作品では、業界とタイアップできる性質を持ち合わせているかどうか重要になっていくのではないかな。そしてその性質はアニメ化の際の重要な決め手になるのかもしれない。

その場合スポンサーの圧力は相当高まる事になるのか。受け手のための作品から、業界のための作品が作られるようになり、アニメファンにとってはつまらない時代がやってくるかもしれない。「昔のアニメはよかった」なんて愚痴をこぼすおっさん達が量産されることだろう。

子供向けコンテンツビジネスの手法をそのまま一般向けマンガ・アニメの業界に取り入れるわけにはいかないわけだ。

さりげなくタイアップ

押し付けがましいやり方は逆に反感を買ってしまう。だから今後はキャラクターや個々の要素にさりげなく業界とタイアップできるような仕掛けを組み込むようになるかもしれない。

具体的に言えば、主人公の使うラップトップがVAIOだったり、たけのこ派でコカ・コーラ好きのヒロインが出てきたりする。あとヒロインの行きつけのコンビニがローソンだったりもするだろう。ドクターペッパー好きのマッドサイエンティストは既にいる。その内、シュタインズ・ゲートと日本コカ・コーラ社はコラボするようになるんじゃないかな。

キャラクターとその個性・嗜好がステマのための道具になる時代がやってくる。

今後のマンガ・アニメの主流

最近のマンガ・アニメはどれも似たようなものが多い。ちょっとした特技を持った主人公に複数のヒロインが恋をしたり、なんの取り柄もない主人公が複数のヒロイン(しかも女子高生)から愛されるような話ばかりだ。世界観や設定は違えど、ストーリー進行や各話の結論はどれも似たようなものが多い。そういう作品に慣れていると山登りする作品なんかは若い世代の間でも凄く新鮮に映るはずだ。

今後のマンガ・アニメ業界は「ヤマノススメ」や「のんのんびより」「だがしかし」「よつばと!」みたいに現役世代から若い世代までをうまくターゲットにして、新鮮さや好奇心、季節感、懐かしさを感じさせる作品が重要なテーマになっていくんじゃないかな。あとそれと対比するように、ブラック企業やIT業界のようなネガティブな世界を面白おかしく描いた作品がちょっとしたブームになるかもしれない。「なれるSE」なんかはいつアニメ化されてもおかしくはないだろう。

あと個人的には前記したような大人の趣味をテーマにした作品も出てきてほしいな。枯れ切ったおっさんオタク達に青春時代を思い起こさせてくれるような、そんな作品と出会いたい。

あと女子高生もたくさん出てきてほしい。

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