情報化とフィクションの加速|想像力と虚構が人類を滅ぼす

人類は想像力によって豊かな社会を築いてきた。人類の発展は想像力が生み出すフィクションによって支えられてきた。

宗教という規範。貨幣という信用。それら曖昧で実体のない存在を多くの人々が信じることで社会は成り立ってきた。

しかし今、そのフィクションがこの社会を壊し始めている。情報化が膨大な量のフィクションを生み出し、我々の選択をより困難なものにしている。多様性が人類の判断を曇らせてしまった。

想像力の生み出す真実と嘘、正義と悪、現実と虚構、陰と陽の境界は極めて曖昧なものとなり、もはや我々はこのとろけ合う虚実を区別することもままならない。

一方的な情報のみが溢れ撹乱される現代ではもはや実体を伴った現実を認識することはおろか、虚構を虚構と証明することさえ困難である。現実と虚構の存在は観測と主観による相対的なものでしかない。情報は常に平等に与えられているものの、その認識と解釈は千差万別だ。現代では人の数だけ、無数の認識と真実が存在している。その多くは決して交わることなく派生と劣化を繰り返しながら個別に存在し続けている。この世はすでに混沌と無秩序に支配されている。

我々ホモ・サピエンスは想像力の織りなすフィクションによって生かされ、フィクションによって滅ぼされる。

人類は自分たちにとって都合の良い真実(嘘)ばかりを受け入れてきた。疑うことよりも信じることに重きを置いてきた。その付けがとうとう回って来たのだ。

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