好きな物が大衆に受け入れられていく悔しさ|文化の盗用について考える

発売当初にはまったく評価されていなかった作品が今になって評価されることがある。

発売当初からその作品を気に入っていた私は嬉しい半面、とても複雑な気持ちになる。

このなんとも言えないモヤモヤとした感情は一体何なのだろう。

自分よりも理解の乏しいぽっと出のファンやユーチューバーが我が物顔でその作品を紹介する。

私はそれを見て、なんとも言えない焦りや悔しさ、憤りを覚える。

ヒップホップなどの黒人文化を取り入れた白人に対して文化の盗用を指摘する人がいるが、彼らもまたこの得体の知れないモヤモヤを感じているのだろうか。オタク文化を我が物顔で私物化する村上隆もまたしかり。


日本の文化を無邪気に紹介するアリアナ・グランデの姿を見て、アジア人や日系アメリカ人たちは彼女の行為を文化の盗用と非難した。

  • 自分たち日系アメリカ人のほうがもっと日本を知っているという対抗意識?
  • 表面的な知識で容易に注目される彼女を見るのが許せない。つまり嫉妬している?
  • 自分たちのアイデンティティが侵され他人のものになってしまうのではないかという危機感?
  • 日本文化のメジャー化を快く思っていない人たちによるネガティブキャンペーン?
    • 実際に批判していたのは日本人ではなくアジア人やアメリカ人が大半であった
    • 正しさや正義が他人や民族を陥れるための道具として悪用されてしまっている

キム・カーダシアンが下着ブランドKIMONO(きもの、着物)を発表し、それが文化の盗用と批判されている。

  • 従来とは異なる目的に利用されることへの不快感?
  • 奪われてしまうのではないかという剥奪への恐怖?
  • 普通名詞の利用はそのものへの尊重と配慮を欠いた行為
    • つまりは軽率さや侮辱に対する反感
  • 炎上マーケティングに利用されたことへの避難という側面もある
    • 文化への敬意を欠いたフリーライドに対する批判的感情

このお騒がせセレブ(今で言う炎上芸人?)としても有名なキム・カーダシアンの一件は、炎上商法も絡んだかなり複雑な問題のようにも感じられる。リスペクトによる借用ではなく私利私欲による文化の私物化という側面が強く感じられる。文化の私物化をモロに体現した重大な問題という見方もできる。


自分たちのアイデンティティを形成する物や作品・文化を他人が取り入れようとすることが、なぜこうも腹立たしく許せないのだろうか。独占欲だろうか。

  • 自分よりも理解の浅い人間が誤った理解で作品を語ることへの危機感
    • 文化が歪められていくことへの不安
    • 自分たちの大切にしてきた文化が荒っぽくぞんざいに扱われることへの危惧
    • 理解の浅いぽっと出のニワカが作品を利用し大衆に受け入れられていることへの反感や嫉妬心
    • ニワカへの嫌悪と軽蔑
  • 知ったかぶりをするクラスメート
    • 間違った知識を披露し注目されているリア充への軽蔑と嫉妬
    • 自分のほうが詳しいのに
      • 自分の役割が奪われているという意識
  • 自分たちの築き上げてきた文化や成果が安易に対価なく搾取されることへの反感?
    • 要するに、文化のただ乗りに対する反感
  • 少数派が多数派に飲み込まれていくことへの警戒心?
  • 拠り所であった少数派の場が他者に脅かされることへの絶望?
    • つまり、少数派やアイデンティティへの侵食に対する拒絶感
    • 自分たちが大切にしてきた物や場が変えられてしまうのではないかという不安と現状維持願望
  • 文化のアレンジによって自分たちの文化が否定されたように感じられる
  • オタク文化に理解のなかった人達が手のひらを返して作品を受け入れ始める
    • 敵対していた多数派にアイデンティティの一部が奪われていくやるせなさ
    • 侮蔑と偏見の目を向けてきた相手が何事もなかったかのように振る舞い、我が物顔で文化を享受している
    • 作品への数少ない理解者であった自身の存在やアイデンティティが揺らぐ
    • 拠り所と誇りが失われていく
    • 多数派に奪われ、少数派として取り残されるだけの自分
    • 自分たちは何も変わっていない、報われることもない
    • 美味しいところだけ取っていく多数派たちはズルい
    • 築き上げてきたものが奪われ誤った認知で歪まされ壊されていく恐怖
    • 大衆化しコントロール不能な世界に離れていく絶望感
  • 大切な存在を奪われた喪失感と葛藤
    • 娘を嫁にやったお父さんの喪失感
    • 息子を手放した姑の執拗なお節介

往々にして作品や文化は自分たちの特権であり所有物であるという意識が根底にあるように思えてくる。文化は自分という存在を形成する大切な要素だということだ。要するに心の一部なのだ。自分たちが大切にしてきた文化が侵されていくことへの嫌悪や、自分たちが長い時間をかけて理解し受け入れ愛着と誇りを形成してきた文化が他者へと苦労なく安易に取り込まれ、あまつさえ尊重と配慮もなく雑に扱われ奇妙に改変されていくことへの不満や不安が、あのモヤモヤの正体なのだろうか。

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